「破竹(はちく)」
3月の終わりから、旬の味として親しんだ今年のタケノコ。いよいよ最後の「破竹」がいま、食卓に乗るタケノコの主役を張っている。
最初にタケノコとして食卓に乗るのは、成長後は直径が20cmにもなる「孟宗竹」という種類で、「雨後のタケノコ」と言われるほどに、3月終わりから4月にかけての雨上がりなどは、藪の中で無数に芽を出してくる。我々庶民の最も馴染の深いタケノコである。味としては少しえぐみがあるため、茹でるときに糠や鷹の爪などを入れて、えぐみを取り除く必要がある。そんなひと手間をかけると、それはそれは美味なる季節の食べ物となる。
今日の主役は、タケノコの中では最も遅く地上に目を出す「破竹」という種類で、孟宗竹と比べると非常に細身で味は淡泊。タケノコ特有のえぐみが少なく、食感がコロコロとした感じで、こちらも1年に1度は味わっておきたい、今が旬の食材ではある。
ゴルフの仲間がウオーキングで山道を歩くと「持ってお帰りんさい」といって破竹を差し出されるという。そんなお裾分けが3日に1度は届けられて、有り難く頂戴する。
田舎暮らしなればこその有難さでもある。
竹は元々天に向かって真っすぐ伸びることで、素直な成長を喜ぶときなどによく使われる。その代表格が「破竹の勢い」という言葉で、会社や団体などの上昇機運を称えるときに使われる。そして気っぷの良さを象徴す「竹を割ったようないい男」などと表現する。
最近では、竹藪の管理をする手が少なくなって、はびこり過ぎた孟宗竹林が、景観を損ねたり、害獣の住処になったりする負の遺産として、厄介者扱いされることもしばしば。そんな負の遺産を逆手にとって、竹チップ販売や、資料の原料に化けたりする「竹林工場」などという新たな産業が生まれたりする時代になって来た。
地方に行けば至る所に見られる竹林。おおむねぐじゃぐじゃの感が強く、手が付けられそうにないが、そこんところを竹特有のしなりの強さに倣って、プラスの遺産に替えられるといいのだが。