「日本一の果報者」
先月下旬から咲き始めて今日までほぼ2週間。私たちの気持ちを浮き立たせ、衆目を集めて咲き誇った今年の桜花も、いよいよ終わりが近づいた。
そこにもここにもある広葉の落葉樹仲間で、森や林や並木を成す桜の木。
秋には風に舞う落ち葉が、掃除をする人を悩ませる厄介者の一時期がある。そしてやがて仲間とともに冬枯れる。そのころは、桜の木とは言えその存在価値も薄れてしまう。
ところが、三月半ばを過ぎるころから各地の気象観測所による開花速報が発表され、一大ニュースとして流される。そうして一旦花開くと、ここに桜の木があったのか、と思わせる威容を訴えかけてくる。その艶やかさ華やかさが、10日余りであっさり風に誘われて終わってしまう。他の花にはない、この魅力あふれる短命こそがサクラなのであろう。
「桜も日本一。錦帯橋も日本一。こんな日本一が二つもあるふる里を持つ私は、日本一の果報者」と自ら語っていた、岩国出身の作家「宇野千代」さん。(1897~1996)
その生き方、生涯をモデルにしたNHK朝ドラ「ブラッサム」の撮影が、岩国錦帯橋や千代さん生家・お墓のある菩提寺周辺で始まり、地元は大いに盛り上がっている。
2026年度後期朝ドラ、つまり今年の10月から放送が始まる。こうご期待!!😚
主役の千代さんの若き日を演じる「石橋静河さん」も「満開の桜が美しく、春がすみの優しい光の中で桜が散る幻想的な景色から撮影を始めた。この中で千代さんの感性が磨かれたんだと実感することができた」と、撮影開始の感想を述べていた。
また「今の時代も千代さんに対する世間の目が厳しすぎると思うが、そんな視線に押しつぶされず、自分で選んだ人生を生きるということを貫いた人」と評し「若い世代に、大変な時代でも真っすぐ自分の意志で生き抜いた人がいたということを伝えたい」と抱負を語っていた。と毎日新聞で報じられた。
地元有志による「宇野千代顕彰会」というボランティア団体主催の全国ネットによる「宇野千代に関するエッセイコンクール」に、岩国市民として応募してお褒めの言葉を頂いたときの内容も、おおよそ今回の石川静河さんと似たようなものであった。
確かに自由奔放な作家生活は、日本人の感覚としては受け入れがたいものがあるが、それ以上に女性実業家としてのパイオニア精神や、晩年の「幸福は幸福を呼ぶ」という短編エッセイ集などは、今でも私の背中を押し、勇気を授かる教科書にも似た存在であると思っている。そんな偉大な作家が錦帯橋近くに生まれ、青春を過ごしたのである。